趣味を全否定する妻と離婚したい!別居期間が短くても別れられる?

趣味を全否定する妻と離婚したい!別居期間が短くても別れられる? 家族
相談者
相談者

ボクは美少女ゲームや美少女フィギュアを愛するオタクです。

そんなボクにも妻がいるのですが、その妻がボクの趣味を嫌っています。最近は嫌うだけでなく攻撃的になって、「オタクなんて気持ち悪い!やめて!」と暴言を吐いてきます。

先日は、ボクが長年連れ添ってきた藤崎詩織ちゃん(美少女ゲーム『ときめきメモリアル』のメインヒロイン)のフィギュアを破壊され、他のゲームやフィギュアも勝手に捨てられました。

もう我慢できません!妻との間に子どももいませんし、妻に出て行ってもらいたいです!

離婚は可能でしょうか?

夫と妻とで趣味が合わないと大変ですよね。しかも、お互いに無関心・無干渉であればいいのですが、一方が他方の趣味を嫌悪していると、時として夫婦間戦争勃発です。そんな戦争の真っただ中にいる男性の役に立ちそうな判例を紹介します。

離婚は家庭裁判所の調停からスタート

日本には4種類の離婚があります。協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚です。夫婦で話し合って離婚が成立すれば協議離婚。それが無理な場合は、調停離婚、審判離婚、裁判離婚のいずれかで離婚の成立・不成立が判定されます。公権力の助けを借りて離婚を成立させたい場合、家庭裁判所の調停からスタートします(家事事件手続法244、257条)。調停がダメなら審判へ、それもダメなら裁判へ、という流れです。これが「調停前置主義」と呼ばれる仕組みです。

さて、相談者のケースは、相談者と妻が話し合って「じゃあ、離婚しよう」となればそれで終了。しかし、妻が離婚に応じない場合、妻を一方的に追い出せるのでしょうか?

性格の不一致は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか?

民法第770条1項には、「裁判上の離婚」となる原因が次の通り定められています。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

浮気や不倫といった不貞行為は一号に該当します。「妻が浮気してるっぽいんだけど……」という場合は、全国の優良探偵社の中から、ピッタリの探偵社を2分で無料診断できる「探偵さがしのタントくん」を利用して証拠をつかみ、それを突きつければ問答無用で離婚できるでしょう。

一方、今回は夫の趣味に対する妻の攻撃が五号に該当するのかどうかが問題となります。

五号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」には、長期間の別居やDV、犯罪行為、性に関するトラブル、精神病などが該当します。その中でも特に多いのが性格の不一致。とはいえ、性格の不一致でいちいち離婚を認めていたら、夫婦関係なんてそもそも成り立ちません。だから、裁判所は性格の不一致による離婚をなかなか認めないわけですが、逆に認めたケースは離婚を望む人にとって参考となるでしょう。

今回紹介するのは、平成21年5月26日に大阪高等裁判所が出した判決です。

しかるに、被控訴人(注:妻)はいまなお、これらの斟酌のない専断について、自己の正当な所以を縷々述べて憚らないが、その理由とするところは到底常識にかなわぬ一方的な強弁にすぎず、原審における供述を通じて、控訴人(注:夫)が受けた精神的打撃を理解しようという姿勢に欠け、今後、控訴人との関係の修復ひとつにしても真摯に語ろうともしないことからすれば、控訴人と被控訴人との婚姻関係は、控訴人が婚姻関係を継続していくための基盤である被控訴人に対する信頼関係を回復できない程度に失わしめ、修復困難な状態に至っていると言わざる得ない。

これは、80歳の夫が妻に離婚請求したっていう、「えっ?ふつう逆じゃね?」と思うような高齢離婚の判例です。実はこの妻、とんでもなく凶暴なんですよ。夫が長年仏壇に祀っていた先妻の位牌を取り除いて親戚に送り付けるとか、夫の青春時代の想い出の品を焼却処分するとか、「そこまでするか!」というレベルのことをやらかしました。裁判官も呆れて「自制の薄れた行為」「控訴人(注:夫)の人生に対する配慮を欠いた行為」と非難しちゃってます。

で、夫の望み通り、離婚が成立したんですね。

破綻主義で離婚が認める基準は別居期間の長さ?

今回紹介した判例で注目したいのは、夫婦の別居期間が1年に満たないにもかかわらず、裁判所は離婚を認めたという点です。

現在、日本の裁判所は、離婚に関して破綻主義を採用しているといわれます。破綻主義とは、長期間の別居など、婚姻関係がぶっ壊れていて修復不可能な場合に離婚を認めるってことです。この考え方だと、不倫や暴力などで婚姻関係を壊す原因を作った有責配偶者からの離婚請求も認められることになります。

逆にいえば、婚姻関係がぶっ壊れていると客観的に判断できない場合は離婚を認めないってことですよ。だから、今回の判例のケースでも、大阪高裁の前の神戸家裁では、夫婦の別居期間が1年未満であることを理由に離婚を認めませんでした。高齢者にとっての1年はとても貴重ですから、それに対する配慮を欠いた神戸家裁の裁判官は頭がちょっとねぇ……。

一方、同じ事実に対する評価でも、大阪高裁は、「妻の行為が鬼畜過ぎる!」と判断して離婚を認めました。裁判所が珍しくまともな判断を下したわけです。

まあいっか
まあいっか

別居期間が1年未満で離婚を成立するのは、配偶者がよほどひどいことをした場合に限られそうだね。

ぼっちだこ
ぼっちだこ

そのひどいことの中には、配偶者のコレクションを勝手に捨てることも含まれそうだね。

Yahoo!知恵袋などにも、夫のコレクションを処分したら夫婦関係が最悪になったという書き込みが多数あって、中には「夫から離婚を提案されました」なんてのもある。

裁判になったら、妻に勝ち目はないんじゃないかな?

まあいっか
まあいっか

まあ、Yahoo!知恵袋などの書き込みは釣りの可能性もあるので何とも言えないけどね。

オタクやコレクターは離婚で揉める前に妻を牽制しよう

相談者のケースも判例のケースに似ていると思われます。まずは、妻に「離婚したい」と伝えて、協議離婚で片付くように話を進めるべきです。妻との話し合いが成り立たない場合は、「こういう判例があるんだが」と言って大阪高裁の判例を見せれば、妻も断念するんじゃないでしょうか?

オタクやコレクターの皆さんは、離婚で揉める前に「コレクションを捨てたら容赦しない」とパートナーを牽制しておくといいでしょう。大切なものを捨てられてからでは手遅れですからね。

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