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運動会の写真を学校が無断でネット公開!子供の肖像権が侵害された?

運動会の写真を学校が無断でネット公開!子供の肖像権が侵害された?
相談者
私には小学4年の娘がいます。先日、娘の通う小学校で運動会があって、娘はリレーで大活躍でした。その後、学校の公式HPで「児童の笑顔がいっぱい!春の運動会は大成功」というタイトルの記事が公開されたのですが、私はそれを見てびっくり!というのも、娘がリレーで走っている写真が載ってたからです。娘は私に似てとってもかわいいんですよ。そんな娘の写真がネット上にさらされたら、そういう趣味の男性のあんなことやこんなことのオカズに……。しかも、「かわいい女の子を自分のものにしたい!」と考えて、娘を誘拐する奴も出てくるかもしれません。怖いわっ!娘を勝手に撮影して、その写真をネットに公開した学校が許せない!

相談者の娘さんがかわいいかどうかはさておき、運動会で娘さんの姿が勝手に撮影されて、それが無断でネットで公開されたとなったら、保護者としては脅威を感じるのが当たり前です。

そして、こんなことになってしまった以上、学校側に文句を言うべきです。では、相談者は、何を根拠に、どういう対応をすればいいんでしょうか?

人格権やプライバシー権としての肖像権は法的に保護される

最近ちょくちょく耳にする「肖像権」。他人から無断で写真や映像を撮られたり、そうした画像などを勝手に公表されたりしないことを求める権利ですね。

「それは肖像権の侵害だ!」なんて文句を言う人も多いですが、そもそも肖像権について定めた法律の条文はありません。

しかし、一般的に肖像権は、「一般市民が人として恥ずかしい思いをしたり、犯罪者につけ狙われたりしないように」と配慮する人格権の一部、もしくは、他人が私生活にずけずけと踏み込んでくるのを防ぐプライバシー権の一部と考えられています。

もっとも、人格権やプライバシー権も条文に明記されているわけではありません。しかし、個人の尊重や幸福追求権を定めた憲法13条の中にこれらの権利が含まれているってのが通説です。

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

最高裁も、京都府学連事件(昭和44年12月24日判決)で「人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する」と言っています。

子どもを勝手に撮影されない権利や撮影された写真などを無断で公開されない権利は、「肖像権」というかどうかは別として、法的に保護される権利と考えてOKでしょう。

他人が写った写真をその人に無断でネット上に公開するのは違法?

肖像権(人格権)に関する判例としては、最高裁の平成17年11月10日判決があります。(全文はこちら

今日の判例また、人は、自己の容ぼう等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益も有すると解するのが相当であり、人の容ぼう等の撮影が違法と評価される場合には、その容ぼう等が撮影された写真を公表する行為は、被撮影者の上記人格的利益を侵害するものとして、違法性を有するものというべきである。

日本中を震撼させた和歌山毒物カレー事件の容疑者、林眞須美が、法廷で自分を隠し撮りした写真やイラストを写真週刊誌「フォーカス」に公表した新潮社を訴えた事件の判決です。新潮社側が敗訴しています。

最高裁は、自分の写真などを他人に公表されない権利も認めています。もっとも、「フォーカス」の裁判では、違法な隠し撮りが前提としてあったため、その後の写真公表についても当然のように人格権侵害とされました。

一方、学校行事で、公式カメラマンが児童を写真撮影するのはどうなのでしょうか?

このこと自体は違法じゃないでしょう。だからといって、撮影された写真をネット上に、児童やその保護者に無断でアップするのは……?

これが違法となるかどうかは、受忍限度論に則って判断されるんじゃないでしょうか?(受忍限度論については、「判例の役割をわかりやすく解説!最高裁判所の法解釈が実務を動かす」を参照してください)

学校が運動会の様子をHP上で公表することのメリットと、児童のプライバシーや安全を守りたいという保護者の要求とを比べて、後者が勝れば、学校側の行為は違法となるはず。最近は、個人情報関係がうるさいですからね。保護者の要求が優先されそうです。

学校主催の運動会は「公立学校における教師の教育活動」で「公権力の行使」にあたるので、それに関連する行為が「違法」となれば、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償請求が可能です。(詳しくは、「プールの授業で飛び込み事故発生!体育教師の責任を裁判で追求したい」を参照してください)

まあいっか
そもそも日本の裁判では、刑事訴訟規則第215条と民事訴訟規則第77条があるので、写真や映像の撮影には裁判長の許可が必要だ。で、裁判長は普通は許可しない。
ぼっちだこ
だから、裁判の報道はイラストを使って行われるわけだ。イラストならOKってのも不思議だけど……。もっとも、悪意を持って描かれたイラストが公開されるような場合は不法行為になり得るってことが、平成17年11月10日の最高裁判例に書かれているよ。

まずは写真削除を「お願い」して、それでダメなら判例と法律を!

子どもが被害者になるニュースがよく報道されています。撮影機器やネット環境が進歩したために犯罪を行うのが簡単になったというのもあるでしょう。

そんな時代だからこそ、相談者のように、保護者が「自分の子どもの写真をネット上にさらさないでほしい」と願うのは当然です。学校は、保護者の不安に十分配慮べきでしょう。

最近は、そうした配慮が徹底された結果、運動会の様子を撮影するのを前面禁止する学校も多いようです。「やりすぎじゃね?」と思わなくもないですが、ネット上での拡散が怖い時代ですからね。しかたないのかもしれません。何かあってからでは遅いですし……。

とはいえ、相談者は、いきなり「訴えるぞ!」とクレームを入れるのはやめた方がいいですね。学校側も「何だこいつ?モンスターペアレントめ!」と構えてしまうからです。

まずは「娘の写真がHPで公開されていると不安なもので……」と下手に出て、「お願い」という形で学校に写真削除を要求するのがいいんじゃないでしょうか?

これで話が通じないようなら、判例と国家賠償法の条文をちらつかせて……。権威に弱い学校教師は、すぐに対応してくれるでしょう。

注意当サイト記載の相談事例は全てフィクションです。記事中の相談者は実在せず、記事を作成することにより管理人が報酬を得ているわけではありません。そのため、弁護士法72条に規定される非弁行為には該当しませんので、この点は十分にご理解願います。

実際の法的トラブル解決に関しましては、弁護士などの専門家に必ずご相談ください。法律関連のトラブルを解決できる専門家を全国1,000以上の登録事務所から案内する「相談さぽーと」がとても便利なのでお勧めです。

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