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プールの授業で飛び込み事故発生!体育教師の責任を裁判で追求したい

プールの授業で飛び込み事故発生!体育教師の責任を裁判で追求したい
相談者
私には、中学2年の息子がいます。その息子が、学校のプールの授業で飛び込みの指導を受け、その際に頭を打ちました。意識を失うなどの重傷ではなく、すぐに元気になったのですが、最近「首のあたりが痛い」と訴えるようになりました。これは頭を打ったことによる後遺症かもしれません。この後、症状が悪化したら……。そんなときは、適切な指導をせず息子にけがを負わせた体育教師の責任を追及したいと思っています。可能でしょうか?

典型的な学校事故に関する相談ですね。死亡事故だとニュースになることもありますが、大事でないと責任の所在があいまいになって、生徒や保護者が悶々とすることも……。

そんな学校事故が起こったとき、被害者は体育教師の責任を追及できるのでしょうか?

学校教師による体育も公権力の行使に含まれる

相談者のケースと同様に、学校で起きたプール事故に関する最高裁判例があります。

昭和50年夏、横浜市立中山中学校で行われていたプールの授業で、飛び込みの練習をしていた中学3年生が水底に頭を激突させて首の骨を折り、全身麻痺になりました。この事故が起こったのは、水泳指導に当たっていたD教諭が「助走つき飛び込み」という危険な飛び込み方法を採用したことが原因だったんですね。

最高裁は、「国家賠償法一条一項にいう『公権力の行使』には、公立学校における教師の教育活動も含まれるものと解する」としたうえで、D教諭の指導が適切だったかどうかを具体的に検討しました。ちなみに、国家賠償法1条1項には次のように書かれています。

国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

最高裁は次のように述べてD教諭の注意義務違反を認定しました。(全文はこちら

今日の判例学校の教師は、学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負つており、危険を伴う技術を指導する場合には、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務があることはいうまでもない。本件についてこれをみるに、(中略)助走して飛び込む方法、ことに助走してスタート台に上がつてから行う方法は、踏み切りに際してのタイミングの取り方及び踏み切る位置の設定が難しく、踏み切る角度を誤つた場合には、極端に高く上がつて身体の平衡を失い、空中での身体の制御が不可能となり、水中深く進入しやすくなるのであつて、このことは、飛び込みの指導にあたるD教諭にとつて十分予見しうるところであつたというのであるから、スタート台上に静止した状態で飛び込む方法についてさえ未熟な者の多い生徒に対して右の飛び込み方法をさせることは、極めて危険であるから、原判示のような措置、配慮をすべきであつたのに、それをしなかつた点において、D教諭には注意義務違反があつたといわなければならない。

最高裁の判決によって、横浜市は生徒側に1億円以上の賠償金を支払うことになりました。

学校教師が注意義務違反になるのはどんなとき?

最高裁の判例からも分かる通り、注意義務違反の検討では、予見可能性と結果回避義務の2点がポイントです。

予見可能性とは、「事故が発生することを予想できたよね?」ってことです。

最高裁の判例では、「助走つき飛び込み」は①タイミングや踏み切り位置の設定が難しい、②生徒が身体を制御できず水中に深く潜ってしまいがち、という2点をふまえて、「十分予見しうる」と判断しました。

これがもし、生徒が教師の注意を無視して勝手に飛び込んだとか、飛び込んだ瞬間に急な心臓発作を起こしたとか、そういう事情だったら「予見可能性無し」となったはずです。

予見可能性がある場合、次に結果回避義務があるかないかが検討されます。結果回避義務とは、「危険を予想できたなら、それが起こらないようにできたよね?」ってこと。

最高裁は、「助走つき飛び込み」は「極めて危険であるから、原判示のような措置、配慮をすべきであつた」と言い切っています。

そもそも「助走つき飛び込み」はD教諭のオリジナル指導法で、学習指導要領や教科書などに書かれていません。「教師の創意工夫」っていえば聞こえはいいですが、危険性や学習効果について十分な研究がなされていない勝手な思い付きだったわけ。だから、最高裁も厳しい判断を下したんだと思います。

学校側と争う場合は、教師が学習指導要領などを守っているかどうかを調査するのも有効なんじゃないですか?

プールの授業から飛び込みが消える日は近い?

東京都立墨田工業高校でも2016年7月、横浜市立中山中学校と同様の事故が起こっています。被害者の生徒は下半身麻痺になったといいます。

学校のプールにおける飛び込みの危険性があちこちで言われていて、しかも、最高裁の判例が出ているにもかかわらず危険な指導をする脳内筋肉バカの体育教師……。しかも、この教師、デッキブラシの柄を横に掲げて、生徒にその柄を越えて飛び込ませるという“工夫”までしたっていうから、かなり悪質です。過去の事件から学べないなんて、教員免許を剥奪してほしいレベルですね。

で、この事件の後、都立高校では飛び込みが全面禁止になりました。これが社会問題化した結果、高校の学習指導要領でも飛び込みが禁止になりそうな勢いです。小中学校の学習指導要領には「水中からのスタートを指導する」と明記されていて、既に飛び込み禁止です。

プールの授業から飛び込みが完全に消える日も近いのではないでしょうか?

まあいっか
飛び込み禁止といえば、スポーツ庁長官の鈴木大地が「なんでもかんでも危険だからと全面禁止し、もやしっ子を育てあげていくのはどうかなと思う」と発言して、ネット上で大炎上したのは記憶に新しい。
ぼっちだこ
鈴木大地は、オリンピックで金メダルを獲っている元水泳選手。自分が生涯をかけて打ち込んできたことを全否定されて腹が立ったのはわかるけど、「飛び込みができない子=もやしっ子」というのは暴言レベルだ。
まあいっか
こんなのがスポーツ庁のトップにいるんだから、日本のスポーツ教育がリスクの塊であることがわかるね。

注意当サイト記載の相談事例は全てフィクションです。記事中の相談者は実在せず、記事を作成することにより管理人が報酬を得ているわけではありません。そのため、弁護士法72条に規定される非弁行為には該当しませんので、この点は十分にご理解願います。

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