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高校入試で不合格の理由は調査書?開示請求して記載内容を確かめたい

高校入試で不合格の理由は調査書?開示請求して記載内容を確かめたい
相談者
先日、公立高校入試の合格発表があったんですが、A高校を受験した息子は不合格でした。受験日当日、帰宅した息子は解答速報を見ながら自己採点して「7割は取れた!」と喜んでました。A高校は、入試本番で6割くらい取れれば受かるといわれてます。それに、通知表は5段階評定の4がほとんどで、5も2つありました。この成績なら、A高校で落ちるなんてありえないと思うんですが……。これってもしかしたら、中学から高校に提出される調査書に、担任の先生が悪いことを書いたんじゃないかしら?どうも息子は担任から好かれてなかったみたいですし……。真実を知りたいんです!調査書って、開示請求すれば見せてもらえるんでしょうか?

受験結果に納得できない受験生や保護者は学校に不信感を抱くものです。そんな彼らはどうすればいいんでしょうか?

指導要録の所見欄などは先生の主観的要素に左右される?

調査書もしくは内申書と呼ばれる書類は指導要録をもとに作成されます。

指導要録とは、日本の学校に通う生徒(児童)の学習や健康の状況を記録した書類です。生徒の指名や住所、生年月日、学級、出席番号などの個人情報の他、各教科や特別活動などの記録、行動の記録、総合所見などが記載されます。

指導要録は各学校の校長が作成することになっていますが、実際に作成するのは各学級の担任です。ということは、文章で書かれる行動の記録や総合所見の欄には担任の主観がたっぷり入るのでは?

そんな不安を抱くと思いますが、まあ、その通りです。最高裁もこの点を認めちゃってますからね。とりあえず平成15年11月11日の最高裁判例を見てみましょう。(全文はこちら

今日の判例本件情報1(注:「各教科の学習の記録」欄中の「Ⅲ 所見」欄、「特別活動の記録」欄及び「行動及び性格の記録」欄の部分に記録されている情報)は、児童の学習意欲、学習態度等に関する全体的評価あるいは人物評価ともいうべきものであって、評価者の観察力、洞察力、理解力等の主観的要素に左右され得るものであるところ、大田区においては、当該情報については、担任教師が、開示することを予定せずに、自らの言葉で、児童の良い面、悪い面を問わず、ありのままを記載していたというのである。このような情報を開示した場合、原審が指摘するような事態が生ずる可能性が相当程度考えられ、その結果、指導要録の記載内容が形がい化、空洞化し、適切な指導、教育を行うための基礎資料とならなくなり、継続的かつ適切な指導、教育を困難にするおそれを生ずることも否定することができない。

23歳女性が、当時の東京都大田区公文書開示条例に基づき、大田区に小学校時代の自分の指導要録の開示を求めました。しかし、大田区は開示を認めなかったため、その処分を巡って女性は提訴しました。

女性は中学時代に学校から差別的な扱いを受けたため、「その原因が指導要録にあるんじゃないか?」と考えて開示を求めたといいます。

それはさておき、一審は一部開示を認め、二審は全面非開示としました。さらに上告審において、最高裁は上のように述べて、成績評価などについては開示を認め、所見欄などについては非開示とにするという判決を下しました(一審の判決と同じ)。

この最高裁判例を読むと、学校に対する不信感が募っちゃいますよね。

先生から好かれている生徒の所見欄などには良いことが書かれていて、嫌われている生徒の所見欄には……。先生だって人間ですから、好きな生徒には甘く、嫌いな生徒には厳しくなるんじゃないでしょうか?

しかも、いちばん気になる所見欄などを学校は開示してくれないんですか?

いろいろ不安に思う受験生や保護者も多いと思いますが、最近は、先生が所見欄などに悪いことを書かなくなったといいます。

情報開示が当たり前の時代になって、所見欄なども含めて開示してくれる学校が増えてきました。

だから、学校も、モンスターペアレントからの訴訟対策として、トラブルになりそうな記述を控えて、当たり障りのないことばかり書くみたいです。最高裁の懸念していた「指導要録の記載内容が形がい化、空洞化」が現実になったってことです。

高校入試で不合格だった受験生は成績開示をしよう

どこの中学校でも、先生は指導要録にすら悪いことを書かないんですから、それをもとに作成される調査書(内申書)にも悪いことは書かないはずです。

もっとも、先生の主観を気にするのなら、各教科の5段階評定にしたって、先生の主観満載ですよ。

「テストで同じ点数のあいつが4で、俺が3なのはどうして?」と思って先生に聞いても、「意欲が無かったから」「授業態度が悪かったから」などと言われれば、「そうですか」ってなるだけですからね。いちいち「先生の主観がどうこう」と騒いでも仕方ない気もします。

とはいえ、どうしてもモヤモヤすることがあるなら、高校入試で使う調査書(内申書)については、学校に問い合わせてみるなり、開示請求してみるなりするといいんじゃないでしょうか?

東京都では、中学校から事前に調査書と同じ体裁の「調査書記載事項通知書」が交付されます。なので、受験生や保護者はどーでもいい心配をしなくて済みます。

一方、県によっては、入試が終わって合格発表後、一定期間内に点数開示ができる場合があります。こういう制度を利用して、不合格だった受験生は、不合格の原因を確認した方がいいでしょう。

点数開示がきっかけでミスが発覚し、不合格が一転して合格になるってことが実際にあります。2018年は、大阪府の府立高校一般選抜入試で、茨木市立中学校が調査書の記載でミスって、4高校で本来合格とすべき計4人を不合格にしてしまったというニュースが報道されましたね。

まあいっか
大阪府の事件は調査書の記載ミスなので、中学校側の問題だ。一方で、毎年のように高校入試の採点ミスがあちこちの県で起こっていて、こちらは高校側の問題だ。
ぼっちだこ
青森県では、平成28年度と29年度の公立高校入試で、全体の8割を超える学校で採点ミスがあった。891人に関して939件もミスがあったっていうから、たとえ合否判定に影響はなかったとしてもヤバいよね。
まあいっか
高校の先生が手作業で採点する以上、どうしてもミスを防げないんだろうな。
ぼっちだこ
そんな人為的ミス解決のために、東京都は平成28年度から都立高校入試にマークシート方式を導入したんだ。

高校入試の合否を争う裁判を起こして意味があるの?

相談者の場合、既に高校入試の合格発表が終わっているので、点数開示ができるかどうかをまずは調べましょう。

点数開示ができるなら、然るべき手続きに従って開示します。もしできないなら、中学や高校、教育委員会に直接開示請求することになりますが……。その方法が分からない場合は、法律関連のトラブルを解決できる専門家を全国1,000以上の登録事務所から案内する「相談さぽーと」に相談してみてください。

開示された結果を見て納得できないことがあれば、中学や高校、教育委員会などに改めて問い合わせる必要がありますね。

それでも納得できなければ、最後の手段が裁判です。

ただ、判決が出るまで時間がかかりますよ。仮に合格を勝ち取れたとして、お子さんはA高校に入学するんでしょうか?

裁判沙汰にすることに意味があるかどうかを、しっかり考えてくださいね。

注意当サイト記載の相談事例は全てフィクションです。記事中の相談者は実在せず、記事を作成することにより管理人が報酬を得ているわけではありません。そのため、弁護士法72条に規定される非弁行為には該当しませんので、この点は十分にご理解願います。

実際の法的トラブル解決に関しましては、弁護士などの専門家に必ずご相談ください。法律関連のトラブルを解決できる専門家を全国1,000以上の登録事務所から案内する「相談さぽーと」がとても便利なのでお勧めです。

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