相談者の両親が利用した鷺屋は、そもそもまともな質屋なんでしょうか?
もし鷺屋に問題があるとすれば、鷺屋と戦うにはどうすればいいんでしょうか?
目次
偽装質屋の正体は年109.5%の暴利を貪る高利貸し
「過払金返還請求したい!債権譲渡で借金が別の会社に移転していたら?」でも紹介した通り、平成22年度の改正貸金業法などが施行されて、上限金利が29.2%から20%に引き下げられました。
グレーゾーン金利で荒稼ぎしていたサラ金会社は儲からなくなりました。だから、悪質な業者の中には、サラ金から撤退して質屋を装う連中も出てきました。これが「偽装質屋」です。
質屋は、物品を預かる代わりにお金を貸すお店です。お金を借りた人は、そのお金を返せば物品を取り戻せます。しかし、返せなければその物品は質屋のものになります(質流れ)。
そんなシステムの質屋には、サラ金会社などと違って、貸付金の上限金利が年109.5%まで認められています(質屋営業法36条1項)。預かった物品(質草)の鑑定や保管、売却などでコストがかかるから金利が高いんですよ。
偽装質屋の狙いはこの高金利にあるってのは理解できますよね?
偽装質屋は、暴利を貪ることが目的なので、そもそも質流れを予定していません。偽装質屋にとって質草なんてどうでもいいんです。だから、百均で売っている腕時計を質草にして高齢者にお金を貸したなんて事件も……。
偽装質屋は、各都道府県の公安委員会から質屋営業の許可を取っていたとしても、その正体は高利貸しです。
偽装質屋から借りたお金は元本も返済する必要なし
偽装質屋は、なかなかお金を借りられない年金受給者につけ込んできます。
そして、年金を担保にした貸付けは禁止されているにもかかわらず、年金口座から自動引き落としにしたり、年金口座のキャッシュカードや印鑑を預けさせたりします。偽装質屋が何と言おうと、実際にやっていることは違法!
違法である以上、利用者は、偽装質屋から借りたお金について、利息だけでなく元本も返済する必要がありません。偽装質屋から借りたお金は民法708条の不法原因給付に当たるからです。
また、偽装質屋の事例ではありませんが、ヤミ金融業者が訴えられた事件で、平成20年6月10日に最高裁は次の判決を下しました。(全文はこちら)
今日の判例反倫理的行為に該当する不法行為の被害者が、これによって損害を被るとともに、当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合には、同利益については、加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく、被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも、上記のような民法708条の趣旨に反するものとして許されないものというべきである。
この最高裁判例に従うと、「偽装質屋に損害賠償請求する場合、借りたお金も賠償額に含めちゃってOK!」ってことになります。
実際、平成27年3月24日、福岡地方裁判所はこの最高裁判例に従って、偽装質屋に対して被害者が弁済した額全額(借りたお金も含む)の支払いを命じました。(詳細はこちら)
摘発された偽装質屋の貸付総額がすさまじい
平成24年以降、全国で警察が偽装質屋を相次いで摘発しています。
平成25年、福岡県警は、質屋の「ダイギンエステート」と「恵比寿」の両社長を含む数人を貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(高金利)容疑で逮捕しました。
どちらの質屋も県に営業登録していました。しかし、「質草は何でもいい」といってゴミのような物品を質入れさせ、高金利で貸し付けていたんですね。
この2社は、9600人以上の年金受給者に少なくとも74億円を貸し付け、数十億円を回収していたっていうから驚きです。結局、2社とも倒産しましたが……。
偽装質屋との交渉は闇金問題に強い専門家にお任せ
相談者のケースでは、鷺屋が偽装質屋に当たるかどうかが問題です。
相談者の両親が預けた壁掛け時計の価値や、年金からの返済を提案した鷺屋の対応など、もっと具体的に検討する必要があります。
鷺屋が偽装質屋だということになったら、今後は一切返済する必要がなくなります。場合によっては、鷺屋を被告として損害賠償請求の訴えを提起することも可能でしょう。
とはいえ、相談者が自分たちだけで鷺屋と交渉するのは難しいんじゃないでしょうか?
そんなときは、闇金問題をスピード解決してくれる「アストレックス司法書士事務所」の無料相談を利用することをお勧めします。信頼できる専門家が丁寧に対応してくれますよ!
コメント