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夫婦別姓は将来日本でも認められる?結婚で苗字が変わるのは嫌なの!

夫婦別姓は将来日本でも認められる?結婚で苗字が変わるのは嫌なの!
相談者
私には、10年間付き合っている彼がいます。彼と結婚したいんです。でも、彼と結婚すると、私は苗字を変えなければなりません。それが仕事上のデメリットにつながるんじゃないかって不安なんです。というのも、私は個人でイラストレーターの仕事をしていて、現在の苗字で有名になってますし、それを変更するとなると混乱が生じるからです。彼は「俺が苗字を変えるよ!」と言ってくれるんですが、彼のご両親は彼の考えに反対なようで……。私は自分の苗字を変えることに抵抗があって、結婚に踏み切れません。どうしたらいいんでしょうか?

相談者のように、婚姻時に姓を変えることを望まない女性は少なくありません。そして、そのことが最近は大きな政治的・社会的問題として認識されるようになってきました。夫婦同姓と夫婦別姓のいずれかを選べる選択的夫婦別姓制度の導入を求める声も強まっています。

2011年には、夫婦別姓を認めない民法750条が憲法に違反するとして国家賠償訴訟が提起されました。後で詳しく見ますが、この訴訟の最高裁判決は2015年12月16日に出ているんですね。

それ以降も、2018年1月にソフトウエア開発会社「サイボウズ」社長、青野慶久さんたちが、5月に事実婚当事者のグループ7名が、6月に映画監督、想田和弘さんと舞踏家・映画プロデューサー、柏木規与子さんの夫妻がそれぞれ提訴しています。

こうした社会の動きがある中で、訴訟を起こすに至っていないけれども深刻に悩んでいる人たちは、どうすればいいのでしょうか?

選択的夫婦別姓は憲法に違反しているわけではない

2015年12月16日の最高裁判例では、次の民法750条の合憲性が議論されました。

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

この条文が、日本国憲法で幸福追求権を定めた13条や法の下の平等を定めた14条1項、そして家庭における両性の平等を定めた24条に違反している、というのが論点です。

最高裁の多数意見は「個人の呼称の一部である氏をその個人の属する集団を想起させるものとして一つに定めることにも合理性がある」とか「氏は、家族の呼称としての意義があるところ、現行の民法の下においても、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる」とか言って、民法750条は合憲だという結論を導いています。

さらに、妻となる女性が不利益を受けていることを認めながら、「近時、婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっている」ので大丈夫だよね、とも付け加えています。そもそも婚姻前の姓を使用することって、そんなに広まってましたっけ?本当かよ?

いろいろツッコミどころ満載ですが、いちいちツッコんでいると切りがないのやめますね。

それよりも、今回は次のなお書き部分を紹介したいですね。(全文はこちら

今日の判例なお、論旨には、夫婦同氏制を規制と捉えた上、これよりも規制の程度の小さい氏に係る制度(例えば、夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制)を採る余地がある点についての指摘をする部分があるところ、上記(1)の判断は、そのような制度に合理性がないと断ずるものではない。上記のとおり、夫婦同氏制の採用については、嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、この点の状況に関する判断を含め、この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである。

「なお書きは判例じゃない!」というのが多数説のようですが、今回に限っていえば、このなお書きに大きな意味があるんじゃないでしょうか?

というのも、最高裁は選択的夫婦別姓制度を否定していないからです。むしろ、なお書きを読む限り、「もっと国会で議論しなさい!」と言っているようにすら感じられます。

今回の最高裁判例には、「立法裁量」という言葉が何度も出てきます。最高裁は「夫婦の姓に関する制度の在り方については、裁判所がどーこう言うんじゃなくて、国会で話し合って決めてね」という立場を取っています。

裁判所は、国会が決めた法律が憲法に違反している場合、それを無効にできる違憲立法審査権を持っています。

とはいえ、裁判所の裁判官は選挙によって選ばれたわけじゃありません。なので、「選挙によって選ばれた国会議員が決めた法律をめったやたらと無効にするわけにはいかない」っていう配慮が働くんですね。良いか悪いかは別として、これが日本の違憲立法審査権です。

しかし、本来は書かなくてもいいなお書きをわざわざ書いたのは、各所に圧力をかけるためだったんじゃないかなと思います。

5人の裁判官が民法750条を違憲だと言っている

今回の最高裁判例では、多数意見に同調する1つの補足意見の他、1つの反対意見、そして4つの意見(民法750条は違憲だとする見解)が付されています。

岡部喜代子裁判官の意見は、制定当時は合憲だった民法750条も、女性の社会進出、社会の情報化・グローバル化、家族形態の多様化などが進んだ現在では、「個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っており、憲法24条に違反する」とバッサリ!女性判事らしい考え方ですね。これに他の女性判事2人も同調しました。

山浦善樹裁判官の反対意見は、民法750条が違憲であるという点で岡部裁判官に同調しつつ、国会が民法750条を改正したりしなかったことは立法不作為だから、国家賠償請求を認めるべきだとしています。

さらに、山浦裁判官は、日本が昭和60年に批准した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」に基づく女子差別撤廃委員会が何度も何度も「民法750条は差別だよ」と注意してきたのに、国会は無視しがやって、と嘆きました。

木内道祥裁判官の意見は、「多数意見は『姓が同じだと家族であると実感できる』って言ってるけど、それ本当?」と疑問を投げかけます。その上で、姓が同じでなくても問題ないんだから、夫婦同姓に例外を認めないのは憲法24条に反すると結論付けました。

今回の裁判では5人の裁判官が民法750条が違憲であるとしていますが、このことは何を意味しているのでしょうか?

法律は社会の変化とともに変わっていく

民法750条が違憲であるという意見が5つも出ているということは、裁判官の間でもだいぶ判断が分かれたってことです。そして、こういう判例が登場すると、いずれ多数意見と少数意見が逆転する可能性が高い、という予測もできるんですよ。

たとえば、平成25年9月4日、最高裁は、非嫡出子(婚外子)の相続分が嫡出子の相続分の2分の1とする民法900条4号但書が違憲であるとしました。これによって同年12月5日に民法が改正されて、非嫡出子の相続分と嫡出子の相続分は同等になりました。

この違憲判決が出るまでには長い道のりがありました。民法900条4号但書は合憲であるという最高裁の判決が続く一方で、少数意見がいくつも書かれました。そしてついに、多数意見と少数意見が逆転しちゃったんです!

社会情勢や国民感情などが合憲から違憲への転換を後押ししました。法律は不変のものではなく、社会の変化とともに変わっていくものなんですね。

非嫡出子の相続分差別が違憲とされたように、民法750条もいずれ違憲になる可能性が高いんじゃないでしょうか?

こうした予測ができるからこそ、青野慶久さんをはじめ、何人もの人たちが新たに提訴したのかもしれません。

何年か後に夫婦別姓が認められるかもしれない

現行制度の下では「結婚=夫婦同姓」です。なので、相談者は、結婚を諦めるか、姓を手放すか、彼に姓を変えさせるか、の三択から選択するしかありません。ただ、何年か後に夫婦別姓が認められるかもしれませんので、その可能性に期待して結婚を先延ばしにする、というのも有りでしょう。

まあいっか
選択的夫婦別姓には、現在も根強い批判があるよね。特に「同姓は家族の統合の象徴だ」みたいに考えている人たちが、自分たちが夫婦別姓を強制されるわけでもないのに、ギャーギャー騒いでるみたいだ。
ぼっちだこ
そういう人たちは、つい過剰反応しちゃうんだろうね。彼らは、自分たちの理想を「伝統」や「歴史」に投影してるだけなんだけど、そこに気づいていない。で、そうした「伝統」や「歴史」は脆いので、攻撃されるとあっという間に崩れちゃう。それが怖いんだよ。
まあいっか
夫婦同姓は明治31年から始まったに過ぎない。なのに、夫婦同姓を「太古の昔から連綿と続く日本の歴史」だなんて思っている人がいたら、その人は無知ってことだ。
ぼっちだこ
最近の日本人は勉強しないから、そういう無知も少なくないと思う。無知であるがゆえに意味不明なことを言う人とは議論しても無駄なので、関わらないのが一番だね。

注意当サイト記載の相談事例は全てフィクションです。記事中の相談者は実在せず、記事を作成することにより管理人が報酬を得ているわけではありません。そのため、弁護士法72条に規定される非弁行為には該当しませんので、この点は十分にご理解願います。

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