一人で食べる食事を「ぼっち飯」や「おひとりさまランチ」といいます。
ぼっち飯は、人間関係がわずらわしいサラリーマンにとってはオアシスようなものです。休憩時間に職場から離れて、プライベートなひとときを楽しめるからです。
しかし、相談者の話に登場するAのようなうざい上司がいると、休憩時間まで会社に拘束されることに……。
こんなことが法的に許されるんでしょうか?
目次
ランチタイムのぼっち飯がサラリーマンにもたらす4つのメリット
ちょっと前までは、「ぼっち飯=友達がいない・かわいそう=恥ずかしい」というイメージがありました。
友達(ランチメイト)のいない大学生が、ぼっち飯を隠すためにトイレで昼食を食べる「便所飯」が話題になったくらいです。
しかし、最近は、ぼっち飯に対する世間の評価もだいぶポジティブになりました。むしろ「職場の同僚とランチなんて嫌!」と考える若者たちは、ぼっち飯を楽しんでいます。
特にランチタイムのぼっち飯には、多忙で貧しいサラリーマンにとって4つのメリットがあるんですよ。
【その1】好きなものを食べられる
みんなで一緒のランチだと、「何を食べるか?」の決定権は自分にありません。
「今日は牛丼を食べたい」と思っていても、他のメンバー全員が「ラーメンを食べに行こう!」と言えば、「ラーメンじゃなくて牛丼を食べたいんだよ!」とは言い出せませんよね。
あるお店で期間限定のメニューがあって、それを期間中毎日食べ続けたくても、みんなで一緒のランチでは「毎日●●を食べたい」とも言えません。
毎日好きなものを食べたい人にこそ、「ぼっち飯」がオススメです。
【その2】自由時間が増える
サラリーマンだと、昼休みは貴重な自由時間です。しかし、みんなで一緒にランチをすると、昼休みがまるっと潰れてしまうことがほとんどです。
さっさと食事を切り上げて読書をしたい、昼寝をしたい、もしくは仕事の続きをしたい……。そんなことを思っていても、同僚と生産性のない無駄話をしているうちに、「あれ?もう12時55分?13時から仕事再開だ!」となっちゃいます。時間の浪費!
ぼっち飯は、自由時間を増やしたいサラリーマンの強い味方です。
【その3】他人に気を遣わない
食べ方が個性的だったり、偏食だったりすると、みんなで食事をするのは苦痛です。
そこまででなくても、食べ物を噛むときのクチャクチャという音や、茶碗にご飯粒を残してしまう癖など、ちょっとした欠点を他人に見られるのは嫌なものですよ。
私は猫舌なので、ラーメンなどの熱いものを食べるのが遅いんです。また、誰かとしゃべっていると、さっぱり箸が進みません。
そのため、誰かと一緒に食事をすると、「食べるのに時間がかかる」ってことが気になって、食事が美味しくなくなっちゃいます。「食事は、人と一緒だと美味しくなる」という意見がありますが、私とは真逆です。
ぼっち飯なら、他人に気を遣わず食事だけに集中できので、食事を美味しくいただけます。
【その4】食費を節約できる
私の金銭感覚では、昼食ごときに毎日1000円以上かけるのは信じられません。というか、500円でも高い!(笑)
しかし、みんなで一緒のランチだと、メニュー単品が数百円の吉野家やマクドナルドに入ることはないでしょう。
そうなると、ランチ代に700円から1000円、場合によってはもっとかかってしまいます。無駄な出費!
100円ローソンで特盛パックご飯と大盛カップラーメン、ウーロン茶などの飲み物を2Lサイズで買って社内に持ち帰って食べれば、毎日200円から300円に昼食代を抑えられますよ。
飽きたら、たまに吉野家やマクドナルドに行けばいいんじゃないですか?
私のように、「食事なんて腹を満たせれば十分!」という人間のランチ戦略です。
ぼっち飯なら、誰に遠慮することなく、食費を節約できます。
ランチを食べながら気軽に意見交換するランチミーティング
最近の若者たちは、ぼっち飯を好むだけじゃなく、昭和時代にあちこちの会社で行われていた「飲みニケーション」や社内運動会・社員旅行なども嫌がる傾向にあります。
そんな中登場したのが「ランチミーティング」。社員同士でランチを食べながら気軽に意見交換をするって取り組みで、次のメリットがあるといわれています。
・業務時間中は忙しい人でも参加できる。
・上下関係を意識せず気軽に意見交換できる。
・他部署の社員と交流して仲良くなれる。
ビミョーな“メリット”ばかりですが、ランチミーティング推進派は本気でこんなことを信じています。
そして、会社でランチミーティングが企画されると、実質的に強制参加となることが多いので、ぼっち飯を楽しめなくなっちゃいます。
会社がランチ代を負担してくれるんなら、ぼっち飯のメリットの1つである「食費を節約できる」だけは満たせますが……。
でも、会社が用意してくれるのが、不味い仕出し弁当だったら悲惨ですよ、ホント!
何よりも、ぼっち飯の他のメリットがすべて奪われるので、ランチミーティングなんて迷惑なだけ。ミーティングなら業務時間内にやれよ、カス!
そもそもランチミーティングは休憩時間じゃなくて労働時間に当たるから違法なんじゃねえの?
労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間が「労働時間」
労働基準法36条1項は次のように定めています。
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
さらに同条3項も見てみましょう。
使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
これらの条文の文言に従えば、実質的に強制参加のランチミーティングは違法です。
ネットで検索しても、ほとんどの弁護士や社労士は「ランチミーティングは違法」って立場ですね。
ランチミーティングについて判断している最高裁判例はありません。
しかし、労働時間について定義している最高裁判例があるので、それが参考になると思われます。「三菱重工業長崎造船所事件」として有名な平成12年3月9日判決です(全文はこちら)。
今日の判例労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。
「労働時間=労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」という漠然とした定義ですね。
実際の裁判では、拘束があるかないか、拘束があるとすればそれが業務上必要なのかどうか、また、使用者からの命令があるのかどうかなどを総合的に考えるようです。
昼休みの電話番は「手待時間=労働時間」とされています。また、緊急時に対応を求められる仮眠時間が労働時間とされた最高裁判例もあります(詳細はこちら)。
ランチミーティングへの強制参加と嫌味は違法&パワハラ!?
相談者のケースでは、ランチミーティングへの参加が頻繁で強制っぽいですから、最高裁の言う「労働時間」に該当すると思われます。ましてや、ランチミーティングへの参加が査定に影響するなら、Aのやっていることは真っ黒ですよ!
しかも、Aの「いい年してぼっち飯なんて非常識!だから、あなたはいつまでも出世できないんですよ!」という発言、これはもうパワハラ!
Aは人間として終わっているので、相談者はこんな奴と話し合おうと考えず、Aを飛び越えてその上の管理職に相談するのがいいんじゃないでしょうか?
交渉の際は「三菱重工業長崎造船所事件もありますよ」と付け加えると効果的でしょう。
ただ、Aより偉い管理職も話が通じない場合、残念ながら相談者の勤める会社はブラック企業なのかもしれません。そんな会社にはとっとと見切りをつけて転職をするのが相談者のためだと私は思います。
相談者と同じような環境で悩んでいる読者は、悩むだけ時間の無駄なので、その時間を転職活動に充てましょう。優良企業求人2000社以上を誇る転職サイト「DYM就職」を利用すれば、ステキな企業との出会いも夢じゃありません!
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