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有給休暇を取ったら皆勤手当が支給されない!就業規則が労基法違反?

有給休暇を取ったら皆勤手当が支給されない!就業規則が労基法違反?
相談者
今年の秋は、思い切って5日間の有給休暇を取って旅行に行ってきました。紅葉を眺めて、町を散策して、美味しいものを食べて……。もう、最高の旅行でした。で、翌月、給料が振り込まれたので確認したら、いつもよりも2万円も少なかったんですよ!「えっ?」と思って給与明細を見たら、いつも支払われてる皆勤手当が0円だったんです。このことで人事部に文句を言っても、「就業規則には『皆勤手当は、月の出勤日数の90%以上出勤した社員に支給する』と書かれているから、1か月で5日間も休んだら支給されないのは当たり前」と取り合ってもらえません。5日間の有給休暇を取ったからといって皆勤手当を支給しないってのは許されるんでしょうか?

「有休を使って旅行に出かけてリフレッシュ!」のつもりが、給料がガクッと減ってしまったら、リフレッシュどころじゃありません。

そもそも有給取得で皆勤手当を不支給にするのは法的に問題ないんでしょうか?

有給取得を理由に皆勤手当を支給しないのは労働基準法違反?

皆勤手当とは、欠勤や遅刻、早退などが無い(少ない)社員に支給される手当です。手当を出すことによって、社員の「休まずに出勤しよう!」というモチベーションアップにつなげるのが目的です。

皆勤手当は法律で「支給しなさい!」と決められているんじゃなく、各会社が必要に応じて設定している手当なんですね。だから、皆勤手当についてのルールは就業規則に書かれているはずです。

会社によっては「精勤手当」となっていることもありますが、基本的には皆勤手当と同じものだと考えてOKです。

この皆勤手当(精勤手当)の支給に関して、正社員と非正規社員とで違っていることがあります。そんな格差の問題については「正社員と非正規社員の待遇格差は不合理?諸手当が支給される基準は?」を参考にしてくださいね。

さて、相談者のケースのように、有休をまとめて取得した社員に皆勤手当を支給しないってことが法的にどう評価されるのかが問題です。

参考となる条文は労働基準法136条です。

使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

この条文を素直に読む限り、有給取得を理由に皆勤手当を支給しないのは「賃金の減額その他不利益な取扱い」に当たり違法だと思いますよね?

多くの本やサイトも「違法だ」という立場なんですが、最高裁の判断はというと……。

「嘘だろ、おい?」って感じです。そんな最高裁判例を見てみましょう。

沼津交通事件の最高裁判例が頭おかしすぎて笑えるレベル

今回紹介するのは、平成5年6月25日の最高裁判例です。「沼津交通事件」として有名な判例ですね。

被告のYタクシー会社は、勤務予定表どおり出勤した乗務員に対して、月4100円の皆勤手当を支給していました。しかし、この皆勤手当は、年休を含む欠勤1日で月2050円の減額、欠勤2日以上で不支給というもの。

Yに勤務する原告のXは、年休取得を理由に皆勤手当が減額されたり支給されなかったりすることが多かったため、不支給分の皆勤手当の支払いを求めてYを訴えました。一審はX勝訴、二審はY勝訴で、Xが上告したところ、最高裁は次のように述べてY勝訴としました。(全文はこちら

今日の判例被上告会社は、タクシー業者の経営は運賃収入に依存しているため自動車を効率的に運行させる必要性が大きく、交番表が作成された後に乗務員が年次有給休暇を取得した場合には代替要員の手配が困難となり、自動車の実働率が低下するという事態が生ずることから、このような形で年次有給休暇を取得することを避ける配慮をした乗務員については皆勤手当を支給することとしたものと解されるのであって、右措置は、年次有給休暇の取得を一般的に抑制する趣旨に出たものではないと見るのが相当であり、また、乗務員が年次有給休暇を取得したことにより控除される皆勤手当の額が相対的に大きいものではないことなどからして、この措置が乗務員の年次有給休暇の取得を事実上抑止する力は大きなものではなかったというべきである。

最高裁は、この部分の前で、労働基準法136条が「使用者の努力義務を定めたものであつて、労働者の年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するものとは解されない」と言っちゃってます。

その上でタクシー会社の事情を汲んでますが、「交番表が作成された後に乗務員が年次有給休暇を取得した場合には代替要員の手配が困難とな」るとかって、本来は会社側が負担するリスクなんじゃねえの?それをどうして労働者に押し付けんのよ?

こんなことを言っているタクシー会社は、「シフトを組んだ後は絶対に休むな!おまえが休むと店が回らなくなるんだよ!」とバイトに迫るブラック企業と同じじゃね?そんなのの肩を持つなよ、最高裁!

しかも、「控除される皆勤手当の額が相対的に大きいものではない」ってねぇ……。金額の大小が問題じゃねえだろっての!

頭おかしすぎて笑えるこの最高裁判例は、当然のことながら、学説や実務からボコボコぶっ叩かれています。しかし、判例は判例なので、現実問題として、これに従って物事を考えるしかないんですよ。残念ですが。

人事部に言っても何も変わらなければ労働基準監督署に相談すべし

相談者のケースでは、2万円の皆勤手当は「額が相対的に大きい」ので、「年次有給休暇の取得を事実上抑止する力は大き」いといえるんじゃないでしょうか?

だったら、沼津交通事件の最高裁判例に従っても、「皆勤手当を支給しないことは違法だ」っていえそうです。もう一度人事部と話してみるといいでしょう。

人事部が頑なに「支給しない」と突っぱねるなら、労働基準監督署に相談してみるのも有りです。相談者の勇気ある行動がきっかけで労基署の調査が入って、会社全体が良い方向に変わるかもしれませんよ。

それでも納得できない場合は、こんな会社にとっとと見切りをつけて転職することをお勧めします。大手企業の求人も扱う転職サイト「DYM転職」を利用して、より良い条件の会社を見つけましょう!

まあいっか
皆勤手当に限らず、役職手当や資格手当など、手当がやたらと多い一方で基本給が低い会社はブラックだと考えた方がいい。会社は、経営が苦しくなると、何かと理由をつけて手当を削減してくる。そうなると基本給だけの安月給になって、生活が成り立たなくなることもあるよ。
ぼっちだこ
それに基本給が低いと、昇給額も低かったり、ボーナスや退職金が少なかったりすることも多い。だから、転職するときは、手当の額に惑わされず、基本給で会社を選ぶといいんだね。

注意当サイト記載の相談事例は全てフィクションです。記事中の相談者は実在せず、記事を作成することにより管理人が報酬を得ているわけではありません。そのため、弁護士法72条に規定される非弁行為には該当しませんので、この点は十分にご理解願います。

実際の法的トラブル解決に関しましては、弁護士などの専門家に必ずご相談ください。法律関連のトラブルを解決できる専門家を全国1,000以上の登録事務所から案内する「相談さぽーと」がとても便利なのでお勧めです。

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