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離人症のせいで交通事故が心配!こんな僕でも運転免許を取れるの?

離人症のせいで交通事故が心配!こんな僕でも運転免許を取れるの?
相談者
僕は今年18歳になって高校も卒業したので、大学の夏休みで自動車運転免許を取ろうと思っています。でも、ちょっと不安があるんですよ。というのも、僕は、幼い頃から、時々「自分が自分でない」という感覚に襲われることがあるからです。たまに、学校の授業中などにフッと自分を見失って、「あれ?私は誰?ここはどこ?」ってなります。頭や指先などを動かしてみますが、それら動きに自分が宿っていなくて……。もっとひどいときは、教室が膨張するというか、天井や壁がどんどん遠ざかっていく不思議体験をすることもあります。ただ、こんな状態になっても、少しするとハッと我に返るので、今までは特にトラブルになりませんでした。でも、これが車の運転中だったら……。こんな僕でも運転免許を取れるんでしょうか?

そもそも相談者のような症状は一体何なのでしょうか?また、相談者のような症状に悩む人は、自動車運転免許を取得できるのでしょうか?

「自分が自分でない」という感覚に襲われるのが「離人症」

相談者のように、「自分が自分でない」という感覚に襲われる症状は「離人症」と呼ばれます。

離人症に加えて、一人の人間の中に複数の人格が同居する多重人格や、「おーい」と自分を呼ぶ声を聞いてしまう幻聴、記憶に空白ができる健忘なども合わせて「解離性障害」です。「解離」ってのは、「一人の自分」として本来まとまっているはずの意識や記憶、感覚などがバラバラになることです。

多重人格は、小説などにも登場するから有名じゃないですか?そんなドラマチックな症状だけでなく、ちょっとしたホラー体験も実は解離性障害の一種なんですって!悪霊のせいじゃないんですね(笑)

さて、解離性障害になりやすいのは、次のような人たちです。

1. 想像力がたくましい。

2. 心に深い傷を負っている。

3. つらい状況で心を飛ばす癖がある。

1は、幽霊や妖怪などをよく見てしまう人や人形やぬいぐるみに話しかけてしまう人。現実と空想とを混同して、不思議体験をたくさんしてしまうってわけです。幼い子どもに多いですね。

2は、家庭内での虐待や震災などの記憶が心を蝕んでいる状態です。「PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)」という言葉で、最近はよく知られるようになりました。

3の「心を飛ばす」ってのは、自分の身に降りかかっている嫌な出来事を、「自分には関係ない」と考えることです。現実に起こっている苦痛から目を逸らすことで自分を守るんですね。

これら1~3のいずれかに当てはまる人の中で、どこにも居場所がない人や他人に合わせ過ぎる人が離人症になっちゃうといわれます。

もっとも、離人症は、ひどく疲れていたり、特定の薬を飲んでいたり、精神病にかかっていたりしても発症することがあります。

特定の持病がある人は車の運転を禁止されている

現在、日本の運転免許制度では、特定の持病のある人は道路交通法施行令33の2の3で車の運転を禁止されています。持病とは具体的に、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害、統合失調症、認知症です。これらの病気は、運転中に意識を失ったり、正常な判断ができなくなったりする可能性が高いので、「危険だから運転するなよ!」って決めているんですよ。

これらの持病があるのに、運転免許の申請や更新のときに申告しないと、道路交通法第117条の4に基づいて、1年以下の懲役または30万円以下の罰金という刑罰が科されちゃいます。

とはいえ、実際にはてんかんなどを申告せずに免許を取って運転する人もいます。そんな人が交通事故を起こすとどうなっちゃうんでしょうか?

近年、時々ニュースになっているてんかん患者の交通事故について、裁判所は運転手に厳しい判断を下す傾向があります。自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に定められた危険運転致死罪(3条2項)を条文通りに適用しているんですね。

たとえば、東京高等裁判所の平成30年2月22日判決は、車の運転中にてんかん発作が起こって5人を死傷させた運転手に対して、次のように述べています。(全文はこちら

今日の判例被告人(注:運転手)が、医師から運転をしないよう注意されながらも、てんかんの持病を申告せずに運転免許の更新を受け、自動車の運転を継続した経緯は厳しい非難に値し、本件は、被告人が、万が一でもてんかん発作が起これば取り返しの付かない重大な結果を招くかもしれないという自動車運転の危険性を顧みず、運転に対する自己の願望や都合を優先したことによって起きたものであって、いまだに不合理な自己弁護に拘泥し、そのような本件事故を招いた自己の態度を率直に見つめることができていないのであるから、真摯に反省していると評価することはできない。

裁判官は「病気だから事故を起こしても仕方ないよね」と言うのではなく、むしろ「病気なのに車を運転するとは何事だ!」と運転手を非難しています。

てんかん患者の交通事故がニュースなどで報道されて、社会的関心が高まったこともあり、それが判決にも少なからぬ影響を及ぼしたんでしょうね。

まあいっか
交通事故だと、加害者のてんかんがよく話題になるけれど、被害者が外傷性てんかんの後遺症に苦しむ場合もある。外傷性てんかんは外からの衝撃によって脳の一部が損傷することによって、てんかんと同様の症状が現れるケースをいうんだ。
ぼっちだこ
外傷性てんかんになった被害者は、症状と交通事故との因果関係の証明や、外傷性てんかんの治療にかかる費用の算定などをしなければならないので、加害者への損害賠償請求がかなり難しくなるよ。

車の運転に不安がある人はまずは医師に相談しよう

交通事故の加害者に対して厳罰化が進んでいるのが近年の動きです。そんな時代だからこそ、ちょっとでも車の運転に不安がある人は、できるだけ運転しない方が賢明です。

相談者の場合、運転が禁止されている持病には当たらなそうです。とはいえ、私の口からは「こうしたらいいよ」と言えません。

なので、相談者はまず、医師に相談するといいでしょう。医師からのアドバイス(場合によっては診断書)をふまえて、自動車学校や免許センターなどの担当者に事情を話してみてください。

注意当サイト記載の相談事例は全てフィクションです。記事中の相談者は実在せず、記事を作成することにより管理人が報酬を得ているわけではありません。そのため、弁護士法72条に規定される非弁行為には該当しませんので、この点は十分にご理解願います。

実際の法的トラブル解決に関しましては、弁護士などの専門家に必ずご相談ください。法律関連のトラブルを解決できる専門家を全国1,000以上の登録事務所から案内する「相談さぽーと」がとても便利なのでお勧めです。

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